Leather

皮、革、皮革。育てる革製品“ヌメ革”

はじめに「革製品」を手にする上で知っておきたい“革のこと”僕らの身の回りには「革製品」がたくさん有りますが、皆さんはどれくらい“革のこと”をご存じですか?今まで、皆さんがなんとなく触れていた“革のこと”をAGOが、お話しします。



皮 ? 革 ? 皮革 ?

ひと言で「カワ」と言えど、世の中には色んな「カワ」がありますね。実は教育の現場でも“皮と革”の表記が曖昧になってきている背景もあり、ますます解りにくくなってきています。
まず“皮”とは、動物から皮膚を剥がしただけで手を加えておらず、製品として扱える状態のままのモノが“皮”として扱われます。しかし、特に加工していない生の状態のままの“皮”は動物の臭いが強く、傷んだり、腐る事もあるので、製品としてさらに扱い易くするために、皮から毛などを除去し、手を加えて加工します。その工程を“なめし”と言い、なめして加工したモノが“革”となります。皮革(ヒカク)はそのどちらともを指して使われる言葉で、人工的に作られたモノも皮革として扱われています。
近年では、人工的に作られたモノとの区別が一目では解りにくくなったため、動物から作られた革は“天然皮革”人工的に作られ革は“人造皮革”と表記するようになっています。



革とは? なめしとは?

動物の皮は、剥がした後そのままでは、動物の臭いが強く、傷んで腐ってしまったり、固くなってしまう事があります。そうなるのを防いで、皮を柔らかくし、耐久性を持たせ、革として利用するために必要な工程を“なめし”といいます。なめしの工程を行う事で、動物の皮膚だった“皮”は、製品として使われる“革”になるのです。
具体的に“なめし”とは、そのままでは腐敗したり、水分が抜けて硬くなってしまう皮のコラーゲン繊維に“なめし剤”を結合させ、安定した素材“革”に変化させること。そうすることで、劣化を抑えながら、素材としての柔らかさや強度が生まれるのです。



革の歴史と、古くから伝わる“なめしの技術” 

人類と皮革との歴史はとても古く、およそ200万年前の旧石器時代にまでさかのぼります。狩猟によって生活を営んできた人類は、寒さや衝撃から身を守るために毛皮や革を活用してきました。旧石器時代の遺跡から、皮革の加工に使用した道具が発見されており、それを使って除毛などを行っていたものとされています。人類は、歴史の中で“皮”を“革”にする“なめし技術”や、革を製品にする加工技術を創意工夫し、伝承してきました。
変化しやすい“皮”を長持ちする“革”に生まれ変わらせる技術は、人類の歴史とともに発達し、最初は乾かすだけでしたが、柔らかくするために“もむ、叩く”といった作業を行うようになりました。さらに柔らかく仕上げるために出来たのが、魚や動物の油脂を塗る“油なめし”で、最古のなめし技術と考えられています。また、囲炉裏の近く皮をかけておくと腐敗しないことから始まった“くん煙なめし”倒木のそばで死んだ獣の皮や染色のために草木の汁に漬けた皮が腐らないことから発見された“植物タンニンなめし”など様々ななめし技術が開発されてきました。



革製品の良し悪しを左右する “タンナー”

タンナーとは“皮”を“革”に加工する職人たちのこと。その加工の工程を“なめし”といい、植物に含まれる渋(タンニン)やクローム酸塩などの化学薬品を使って行われます。鞄職人にとってタンナーは、素材を供給してくれる大切なパートナーで、まさに「革の匠」と呼ぶべき存在。 ひとくちに革の製造と言っても、なめし工程を含め20以上の工程があります。そんなタンナーの実際の作業は、牛一頭の半分程の重さの革を一日に十数枚も扱うかなりの重労働。また、革をなめす時には気が遠くなりそうな臭気が発生し、顔料や薬品などで服や靴は汚れっぱなし。その上、巨大な回転ドラムやプレス機を扱い、酸やアルカリなどの薬品、熱湯などを使用するため、常に大きな危険がつきまとう過酷な仕事なのです。タンナーが扱う革という素材は、天然素材ゆえに一枚一枚の品質が微妙に異なり、環境の変化に非常に敏感です。なので、原皮のコンディションをはじめ、その日の気候や作業場の温度、湿度などによって、作業の質や量、薬剤投入などのタイミングを微妙に調整しなくてはいけません。そのためクオリティの高い革づくりには、長年の経験と熟練した技術の獲得が絶対条件。タンナーの仕事は、無限の変化を持つ自然との、厳しい真剣勝負の連続なのです。



ヌメ革とは?

ヌメ革とは、植物の渋にも含まれる成分のタンニンで牛の原皮をなめし、染色、塗装、型押しなどの表面加工をほとんど施さずに仕上げた革の事をいいます。
数ある革の中でも、革そのものの風合い、味わいが魅力で、最も革らしい雰囲気を持つため“革の中の革”とも言われています。ひと目で本革と分かるナチュラルな風合い、高い上質感と風格、革独特の素朴な匂いや、手に馴染むなめらかな手触りが特徴で、何より、非常に丈夫です。傷痕やシワ、血管や毛穴の痕などの自然の刻印がそのまま残されるため、表情がとても豊かで、太陽の光を浴びたり、素手で触ることで付く油で少しずつ変色しますが、この傷や変色自体もヌメ革の風合いとして味わいが増し、その変化が面白く、自分色に “育てる革” がヌメ革の最大の特徴です。またヌメ革は、植物の渋のみで、なめされているので、廃棄されても土の中で微生物などにより自然に分解され、製造工程中に環境を汚染するような有害廃棄物をほとんど出さないため、自然環境に優しい素材としても近年その価値が見直されている優秀な素材です。



革職人の手から1つ1つハンドメイドで。

ヌメ革で作る製品は、利用する革の場所によって1つ1つ表情が異なるので、全く同じ製品を作ることはできません。動物の傷痕やシワ、血管や毛穴の痕、コブなど、場所によって扱い方も異なってくるので、製品にする上で全く同じ作り方をする事はできないのです。
近年では機械化が進み、大量生産で何でもオートメーション化されていますが、ヌメ革を取り扱うには、個性を見極め、クセに応じて道具を変え、手を加えなければいけません。本物の素材を扱うには、革職人の技術と知識が絶対的に必要です。Leather&Silver AGOでは、もちろん革職人の手から1つ1つハンドメイドでお届けし、made in japan の技術で真似する事のできない品質を確保しています。



ヌメ革にこだわる Leather&Silver AGO

ヌメ革は使い込む程に、革の内部からじんわりとオイルが染み出し、独特のツヤが出てき、それが風合いを増していきます。手にしたすぐのヌメ革は、たいてい無愛想なくらいツヤのない革ですが、日光や体温、マッサージなどの刺激によりヌメ革に元々含まれている脂分が表に染み出してきます。これが表面にツヤのある皮膜を作り、味わいと共に撥水効果を持たせることになるのです。
何でも手軽に手に入る現代ですが、いつの時代も本物が放つ輝きは変わりません。歳月を経て育てる、こだわりのヌメ革を1つ1つ手仕事で。ヌメ革独特の風合いと、使うほどに馴染んでこの世に二つと無いモノに育て上げる喜びを、あなたの手に。
生涯を通して「育てる革製品」をLeather&Silver AGOは提供します。




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